
2025年9月22日 四川省成都市の北、广汉市にある三星堆遺跡の博物館へ行ってきた。
NHKテレビで特集された三星堆遺跡が見たくて、上海に行ったついでに見に行った。
三星堆博物館https://www.sxd.cn/は四川省成都市の北約40km广汉市にある。
地図 https://maps.app.goo.gl/Ppv8W7YbWCoBy9Z77
三星堆遺跡について
紀元前3000年〜1000年頃に中国の四川省で栄えた古代文明。長江(日本で揚子江と呼ばれる)上流域で独自の発展を遂げた青銅器文化で、謎に満ちた遺物から「失われた文明」とも呼ばれている。
発見の歴史:1929年に農民が偶然に玉器を発見したことがきっかけで、1986年本格的な発掘調査が行われて世界を驚かせる発見があった。
独特な青銅器:巨大な人頭像や奇妙な仮面など、黄河流域いわゆる中原の殷や周とは異なる独特の様式を持つ青銅器が特徴。特に、目が大きく飛び出した「縦目仮面」は有名で、伝説上の古蜀王である蚕叢(さんそう)をかたどったものという説がある。
文字記録の欠如:殷や周と異なり、三星堆文化からは文字の記録が現在まで見つかっておらず、他の地域の遺跡等にも記述が無く、その歴史や信仰の詳細は謎に包まれてる。
準備、アクセス

準備: 博物館入場券 72元(約1600円)これが無いと入れない。当日券は無いようだ。インターネットから購入するのだが、いつでも買えるのではなく3日前からからしか買えない。三星堆博物館のサイト上では外国人向けのサイトもあったが、なぜかボタンをクリックしても反応しない(上海で)。仕方なく以前勤務した上海の会社に依頼し購入。購入時にパスポートNoが必要。入場時間は午前 午後が選べる。
購入できたチケットを微信で送ってもらい、スマフォに入場券を表示できるようにしておくことと、入場時にパスポートのチェックがあるので、必ず持参のこと。
(追記) 日本から入場券を予約へアクセスすると「您的请求已中断。Web应用防护服务检测您当前访问存在Web安全风险或访问不合规」と拒否される。外国からのアクセスは拒否の様です。(2025年10月10日)

- アクセス:成都市から博物館までは、鉄道+タクシーを利用する方法と、直通バスを利用する方法があるが、今回は直通バスを選択。直通バスは地下鉄春熙路駅D出口上がったところから出発し、帰りはほぼ同じ場所に戻ってくる。バスターミナルを想像していたのが、昔ながらの路上で客引きする方式だった。大まかな出発時間は決まっているようだが、満員にしてから発車したいようで、大声で客を集める。金額は片道25元、往復45元。他に選択肢がないから当然往復を購入。写真の往復チケットはなくさないように、帰りに必要。 乗ったバスはちょっとくたびれた「灰狗运业(グレーハウンド運送)」、他にも競争相手がいるようだ。車内は50人ほど乗れるがほぼ満員。中国人以外は私と西洋人が一人。8時出発といっていたが結局8時15分出発。
車内で添乗員の若い女性(少し英語が通じる)がタブレットを掲げ話を始めた。何か広告かと思っていると、博物館の説明、有名な展示物の解説や、発見の経緯をタブレットに写真を表示しながら説明している。早口で聞き取れないが、乗り合いバスにしては親切だ。パンフレットにしてくれるといいな!。
注意を言っていていた「シートベルトして下さい。帰るときは停車場にバスが止まっているからそれに乗ってください。最終はxx時です。往復のチケットは必ず持ってきて。」最終時刻がが聞き取れなかった!! 多分大丈夫だろう。3時ころには帰るつもり。
途中で添乗員は下車し運転手だけになった。高速道路を飛ばしていくのかと思っていたら、何度も渋滞に引っかかる。節約なのか公路と呼ばれる地方道を走っていたが、予定通り70分で博物館の駐車場に到着。。

- 三星堆博物館

バスを降りると多くの観光バスや、自家用車が止まっている。どこにも案内がないのできょろきょろしていたが、団体のツアーが地下通路へ進んでいくので、ついて行った。駐車場から地下通路に入ると中国の小吃t店が並んでいて、そこを過ぎると入場ゲートに到着。機。もちろん最新中国式の自動ゲートなのだが・・中国人の身分証明書は機器のスキャナーにかざすとゲートが開いて通行可となるのだが、パスポートは対応していないのか、ゲートが開かない。女性の係員がやってきてチケットとパスポートを見比べ、手動操作でゲートを開けてくれた。
ゲートを入ると巨大な博物館が現われる。百度一下によると敷地面積66亩(約4.4ヘクタール)(亩:ムー、中国の面積の単位。)、建築面積は5.5万平方メートル。東京ドームくらいのようだが、もっと広い感じがする。2024年の資料では年間320万人が訪れる中国で3番目に人気博物館。 当日の入場者10時ころで8500人位の電光掲示板があった。

博物館に入ってすぐ、展示室入口付近でオーディオガイドを貸し出している。日本語があるか聞いたが、残念ながら中文と英語しかない。人のガイドさんもあるがグループで利用するとお得。もちろん中国語。
1,2階が展示室、地下にお土産屋と催しもの用の部屋があります。
- 展示室

一階展示室入口。一方通行で出口は他の場所。出口を出ると2階展示室へのスロープがある。

1934年初めての発掘調査の様子。
それほど重要だとは思われていなかったようだ。

1986年の二回目の発掘で大発見があった。
写真は2号祭祀坑の発掘時。
説明では 5.3mx2.3~2.2m 深さ1.4~1.68mの穴に砕けた状態で放り込まれた青銅大立人像、青銅神樹など約1300件が発見された。
このあたりのことはNHKの1992年9月23日放送の「謎の仮面王国。~古代揚子江文明を探る~」(NHKオンデマンド)で見られる。

展示室に入って最初の展示品。
入場者を迎えるかのように展示され、入館者はみなスマフォで撮影をする。人だかりでなかなか撮影ができない。
扭頭跪坐人像。
高さ15cmほどの青銅の像。独創的なデザイン。何を持って、何をしているのだろう?










商青铜立人像
高さ2.9m巨大な青銅の立像。 何を持っていたのかわからないそうだ。大きな象牙かもしれない? 太鼓かも???
・博物館説明
中国歴史学年代,商
(紀元前1600~前1046)
・ガラスのケースに入っていて、人気も高く多くの人が撮影中!


商青铜立人像1986年の発掘の様子。NHK1992年放送「仮面の王国」放映から。




有名な 商青铜纵目面具 青銅の大きな仮面。
非常に大きくて、高さ約66cmx横幅約138cm 幅85cm
最近では祭事で祀られる側だったと考えれているそうだ。




仮面の額の上に角のような飾りがついている仮面がある。リベットや溶接の技術のない当時としては最新の技術だそうだ。角のついていない仮面の額にある穴に、さらに鋳型で青銅を継ぎ足して作ったそうだ。


NHK1992年放送「仮面の王国」から。
商青铜纵目面具の発掘時の様子
たくさんの青銅の頭部
数多くの青銅の頭部が展示されている。体の部分は木製であっため朽ちてなくなったそうだ。兵馬俑のような陶で作られていたらどうだったろうか?後頭部は三つ編みの様でだ。







金をかぶった青銅頭部


金の仮面




金箔もつくる技術もあったようで金箔の仮面や、簪のようなものも出土している。

祭具の奇妙なデザイン
祭具と考えられている口を大きく開けた動物。
鋳造上の制約かもしれないがそれにしてもなんだこのデザインは!!!




商青铜神树

関西万博でも複製品が展示されていた、商青铜神树。 中国の法律で国外持ち出しが禁止されているそうだ。
古代中国の伝説に登場する巨木で、東方の海上にある「扶桑(ふそう)の木」で、ここから太陽が昇るとされている。
東の果てにある「扶桑」の木から太陽が昇り、西の果ての「若木(じゃくぼく)」に沈んでいくとされている。商青铜神树にいる鳥が太陽をくわえて西の「若木」へ飛ぶと言い伝えられている。ここから「日本の聖徳太子が隋の煬帝に送った国書の一節、「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す」はここから来たとの説もある。
・博物館説明
高さ約4m 幅 1.4m 台座直径90cm
中国歴史学年代,商(紀元前1600~前1046)


蛇と龍 すごいデザイン!
龍は『風の谷のナウシカ』の王蟲(オーム)を連想してしまった。




なんだこれは? なんでこんなものを作るのだ!
祭具と説明されていたがそれにしても奇妙奇天烈としか言いようがない。



まとめとお土産など
午後3時過ぎ、あまりの迫力でかなり疲れた。
三星堆遺跡が忽然と消えたのはなぜだ?
博物館にはこの文化は中国各地につながったと説明しているコーナーもあったが、具体性が無く、説得力がない。
纵目(縦目)はつり目、彫が深い顔を想像してしまう。おそらく「漢民族」ではない民族によるものだろう。成都から西へ向かう交易ルートがあったと考えられる。

お土産に扭頭跪坐人像のダイキャストのコピーを買った。
少々雑だが感じは出ている。85元(約1900円)
館内は飲食するところが無く、のどがからから。 駐車場へむかう地下通路の売店でスプライト雪碧(xuě bì)買ったのだが、携帯の電波が弱く支付宝(アリペイ)がつながらなず支払いに困ったら、お店の人も電波弱いからねと言って現金でもOk! 久しぶりに現金を使った。現金持って行っていて助かった。
岐路
駐車場におおくの観光バスが並んでいて、乗ってきた「灰狗运业(グレーハウンド運送)」も2台止まっていた。トイレに行って、帰りのチケットを見せて乗車。ほぼ満席で最後尾の席に座る。
外でまた客引きがはじまる。横の席に17,8歳くらいの青年が乗ってきたがスマフォだけ持って他に何も持っていない。若者はカバンも持っていないのか!彼が最後の乗客。
何の案内もなくバスが動き出した。
行と違って帰りは成都中心部の「宽窄巷子」(kuānzhāi xiàngzǐ クアンザァイシャンズゥ)に停車。半数以上の多くの人が下車した。後で有名な観光地とわかって失敗!
2003年ころに再開発されたエリアらしく、在重慶日本領事館に紹介記事があった。
・成都市中心部から少し西、地下鉄4号線「寛窄巷子」駅を出ると、寛巷子、窄巷子と呼ばれる二本の細い路地がある(「寛」は広い、「窄」は狭い、「巷子」は路地の意)。これらの通りに挟まれた長さ500メートルほどの歩行者天国の区間には、明清時代の建築を模した各種の店がびっしりと並んでいる。古き時代の雰囲気を味わいながら、お土産探しするには最適な空間といえる。
次回行けたらいいな!